der-DEJ-Apparat’s diary

時事と知識を結び開くために。

Dead Can Dance "Within the Realm of a Dying Sun"

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/d/d9/Within_the_Realm_of_a_Dying_Sun.jpg

 

Dead Can Dance "Within the Realm of a Dying Sun" (1987)

1. Anywhere Out of the World

2. Windfall

3. In the Wake of Adversity

4. Xavier

5. Dawn of the Iconoclast

6. Cantara

7. Summoning of the Muse

8. Persephone (The Gathering of Flowers)

 

1980年代、私が生まれる前の音楽なのだから、当時このアルバムがどう受け止められていたのか、それは知る由もない。

私の好きな音楽の大半は、自分が生まれてからの時代のものである。これは文学作品と対比されうる。なぜなら私の好きな文学作品は、自分が生まれるよりも前の時代のものばかりだからだ。この対比が示すのは音楽と文学における時代性の問題がある。

時代性は、かつて文学作品の根底に潜むものだった。ジャーナリズムがなければ19世紀文学の成立はあり得なかっただろう。殊にフランスにおいて、ボードレールの詩をひとつとってもそうに違いない。商業的に文芸が成功をおさめることができるからこそ、独立した作家による表現が可能になったと言うのは当然だと思われている。しかし注目するべきは適わず霜商業的に成功したとは言えない数多くの作家の傑作が残されていたことである。それはひとえにジャーナルのもつ特殊な性格が実現させることなのだ。

ところが音楽においてはその対である。時代性などというものを意識し過ぎてはならない。なるほど音楽ほどモードを追いかけるものもないのかもしれない。しかしながら、それでも音楽の抽象性は、プルーストの小説を読むときほどの困難を感じさせることはない。音楽に注釈をつけることは可能だ。実際古典音楽の多くに、大量の論文がぶら下がっているというのが現実であり、その中には解釈や時代性に言及する者も少なくない。とりわけ産業化等は実際音環境を一変させてしまったわけで、それは騒音や録音、楽器の大量生産などを含む。結局音楽がなんらかの社会経済的現象と切り離されることはない。勿論それはそうかもしれない。だが、そうして一元論的に語ることには何の意味もないのだ。音楽はジャーナリズムではない。仮令そこにブレヒトの詩が編み込まれていたとしても、それはジャーナリズムとは全く異なるものなのだ。

ところで、このアルバムの一曲目は当然、ボードレールのAnywhere Out of the Worldに借りた作品となっている。元の詩を引いておこう。

 人生は一つの病院である。そこに居る患者はみんな寝台を換へようと夢中になつてゐる。或るものはどうせ苦しむにしても、せめて煖爐の側でと思つてゐる。また或るものは窓際へ行けばきつとよくなると信じてゐる。
 私はどこか他の処へ行つたらいつも幸福でゐられさうな気がする。この転居の問題こそ、私が年中自分の魂と談し合つて居る問題の一つなのである。
「ねえ、私の魂さん、可哀さうな、かじかんだ魂さん、リスボンに住んだらどうだと思ふね? あそこはきつと暖かいからお前は蜥蜴みたやうに元気になるよ。あの町は海岸うみぎしで、家は大理石造りださうだ。それからあの町の人は植物が大嫌ひで、木はみんな引き抜いてしまふさうだ。あすこへ行けば、お前のお好みの景色があるよ、光と鉱物で出来上つた景色だ、それが映る水もあるしね。」
 私の魂は答へない。
「お前は活動してゐるものを見ながら静かにしてゐるのが好きなんだから、オランダへ――あの幸福な国へ行つて住まうとは思はないかい。画堂にある絵で見てよくほめてゐたあの国へ行つたら、きつと気が晴々するよ。ロツテルダムはどうだね。何しろお前はマストの林と、家の際にもやつてある船が大好きなんだから。」
 私の魂はやつぱり黙つてゐる。
「バタビヤの方がもつと気に入るかも知れない。その上あそこには熱帯の美と結婚したヨーロツパの美があるよ。」
 一ことも言はない。――私の魂は死んでゐるのだらうか?
「ぢあお前はわづらつてゐなければ面白くないやうな麻痺状態になつてしまつたのかい? そんなになつてゐるのなら、『死』にそつくりな国へ逃げて行かう――万事僕が呑み込んでゐるよ、可哀さうな魂さん! トルネオ行きの支度をしよう。いやもつと遠くへ――バルチク海のはてまで行かう。出来るなら人間の居ないところまで行かう。北極に住まう。そこでは太陽の光はただ斜に地球をかすつて行くだけだ。昼と夜とののろい交替が変化を無くしてしまふ、そして単調を――虚無の此の半分を増すのだ。そこでは長いこと闇に浸つてゐられる。北極光は僕等を楽しませようと思つて、時々地獄の花火の反射のやうに薔薇色の花束を送つてくれるだらう。」
 遂に、突然私の魂は口を切つた。そして賢くもかう叫んだ、「どこでもいゝわ! 此の世の外なら!」

富永太郎訳 青空文庫  

http://www.aozora.gr.jp/cards/001732/files/55441_50079.html(2017年10月15日閲覧)

 

youtu.be

 

 

本を愛するものたちよ喜べ! トマス・ピンチョンが口腔内の写真を公開したぞ

www.clickhole.com

 

もし飲んだくれのクズ野郎ならまあ腰を下ろしてくれよ、なんといってもこのニュースにお前はぶっ飛んじまうだろうよ。トマス・ピンチョン、かの悪名高い隠者風情の小説家が、口腔写真を公衆に公開したんだ!

なんてこった。

ピンチョンはインタビューや公に登場するのを拒むことで有名だ。それでとうとう彼の口の中、それも喉まで映したこの写真を公開するまで、たいていの読者は彼がどんな姿をしているか思いもよらなかったんだよ。トマス・ピンチョンが彼の口の中を世に出そうなんて決心したのは、ここ百年の文学界隈で最重要な事件の一つだといったってとがめられることはない。

ピンチョンの口腔写真は文藝出版を主とするペンギン出版を通じ、次の文章を添えて公開された。

「『重力の虹』や『インヒアレント・ヴァイス』のような先駆的な小説の陰に潜んでいるかの天才が、とうとう匿名性の幕の裏から出てこようとしている。さあどうぞ、トマス・ピンチョンの口だ」

まったく信じがたいよ。これが近い将来、トマス・ピンチョンの口がもっと公衆の面前でみまうことになる兆候だというのを願ってやまないね!

 

 

 

Arca "Mutant" Review (Pitchfork)

pitchfork.com

by Mike Richardson; November, 18, 2015

彼の音楽は時に室内音楽のロマンティックな爪弾きを見せ、また軽快に進行するビートを印象的にみせる。とはいえ、ヴェネズエラ出身のプロデューサー、Arca名義で出されるアレハンドロ・ゲルシ Alejandro Ghersi の作品は、わけてもその流動性・柔軟性によって定義づけられる。彼の楽曲――メロディー、コード進行――のなかには伝統的な音楽性が聞こえてくるだろう。けれどそれらは譜面に固定されるものではなく、むしろとうとうと流れ去っていく。個々の音色は引き伸ばされたり震動したり、ひとつのピッチにとどまってはいられないかのようだ。素早くクラスターを遷ることで特有のコードを徴づける、決してまったくゆだねてしまうことはないまま。そうしてテンポはスピードアップしスローダウンし、時系列というよりうつろいにしたがう。Arcaの深い有機的な機械音楽は、Ghersiの欠‐完了の優美さをみいだす能力によって、定義づけられる。

 

Ghersiはあっというまに長い道のりを辿っていった。彼の経歴は一種のアングラ/メインストリームのハイブリッド、デジタル時代、つまりプロデューサーは宅録ビートからオンライ上でのスターたちとの共同作業へとたちどころに動き回る時代にしか生じないものだ。彼の音楽が非常に多様であっても、その作品の中に彼の声はいつでも聞こえてくる。Ghersiによる最初の作品は、2012年に三つ連続でぱっとしないまま公開された。それらはエレクトロニック音楽の先端に立つもの間で小さくともウェーブを起こした。だがそのほかの人たちにはあまり聞かれることもなかった。とはいえ、その作品に衝撃をうけたひとたちというのがカニエ・ウェストの2013年のアルバムYeezussに携わったひとたちで、Arcaは "Blood on the Leaves" や "I'm in It" を含む四つの楽曲に貢献することで世に出た。同じ年にはFKA twigsのプロデューサーを務めもし、集密と分散が同時に起こるというような、とらえどころのなさによって定義付けられる、ファンタスティックなポップミュージックを創りだすのに助力した。Arcaが全貌をみせた2014年のデビュー作、Xenは、ポスト・ダブステップのビートテープをくしゃくしゃにして丸めた、現代クラシック音楽の倒錯的な様態をしたサウンドによって、Ghersiの領域をさらにいっそう押し広げていった。今年初め、イタリアでのファッションショーのために作られた音楽は、Ghersiが、ジャンルやシーン、high/low artの境界を行き来するその能力を一層進展させていること物語っていた。そして進行中だった、Ghersi作品のヴィジュアル面における、アーティストJesse Kandaとのコラボによって、Arcaはテーマ性あるこの上ない完成度をもったプロジェクトになった。彼は早急に発展させるが、しかし透徹たる基礎の上に築き上げている。

Aphex Twinが、90年代初頭のレイヴの、陽気で開かれたエネルギーを摂取し、そしてそれをすぐれて個人的な芸術へと変じ、そして00年代初頭の、FennezやTim Heckerみたいなプロデューサーたちが新たな世界を作り上げるためには、新たなソフトウェアをいかに用いることができるかを明らかにしていた、そのなかで、Arcaは今我々のこの時代に、抽象的なエレクトロニック音楽を、二元論の外側に存在する人間性という観念のための音楽を、つくろうとしている。「Xenジェンダーレスな存在です」彼は昨年ガーディアン紙にそう言った。「ラベリングに抗い、私たち自身の異なった面々を統合しようとしているのです。」それゆえ、Arcaの曲は決して一つにとどまったものとなることはないのだ。伝統的な美は醜と渦をなし、攻撃性は平穏と並んで存在する、混沌と形式は互いに打ち消しあうことができないでいる。 "Mutant" は対極性のアルバムである。そしてGhersiは、新しいものを創造するために両極を相互作用させるという離れ業をなしとげている。

 

 こうして20曲は一時間を超えて伸展するが、曲の境界は曖昧で、聞けばたちどころに、われわれをサウンドとムードをざっと並べて饗応するレコードが、一続きのものであるかのように思われるだろう。 "Vanity" はピアノソロ曲としてイメージすることができる。

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中心的なメロディーのモチーフはとても可憐で、脳裏に焼きつく。しかしGhersiがその曲で果たしたものは、本質的にいって、統御された爆発の連続であり、その曲のサウンドは百万の断片に破砕するかと思えばおのずと再度集合されていく。 "Alive"のドローンはまさに洞窟から流れ出ているようで、地中の穴を抜けて浮上してくる古代文明の記憶の響きをしている。彼は安定した浮遊を突如中断し、不規則な間隔で曲を揺さぶる飛沫のような休止をはさむ。

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"Umblical" のループするヴォーカルは、惑星地球の生命と接続した、アルバムにいくらか収録されたサウンドのひとつであるが、アルバム中もっとも荒々しく、もっとも冷たい電子音とともにミックスされている。曲は番号をふられているが、いったい現在どの曲を聴いているのかを見失ってしまったとしても、Ghersiのヴィジョンの明晰さは焦点を結ぶ。音楽の毀損した印象はいや増した力の熱量を帯びている。楕円のかたちをした断片が、まったき論理性を感じさせることのない、華々しく神秘的な、影と動態の推移に焦点を結んでいるかのように。

Xen" と比較して、"Mutant" は落ち着きをうしない、クラシック音楽の影響も減っている。Xenの多くの楽曲は、一聴してすぐ、Aphex Twinの "Alarm Will Sound" 風の新たな音楽のアンサンブルを敢行して演奏されているようにイメージされる。しかし "Mutant" は厳密な意味でのsongを避けて、soundscape 音響風景に傾いている。特に "Enveloped" においてそうなのだが、ほんの瞬間振り返ると、そこではビートが突然現れていて、ビートはある種の産業ポップミュージックへ立ち返るために用いられているかのようにイメージされるがしかし、ここではもう、ラジオで流されていたアーティストには奇抜すぎて、まったく別世界のメロディーに用いられた、 warped instrumental patch 有用な/器楽用の歪んだ布あてなのである。だがイージーリスニングではない。むしろ、生命体のように感じられる壮麗な音楽なのである。そしてこのアルバムを作品外のなにものかに関連させるのは困難である。スペインの建築家アントニオ・ガウディは言った、直線は人間のものであり、曲線は神のものである、と。すなわち、 "Mutant" で、Ghersiは多孔性と不安定性への妄執を精神的 spiritual な探求へと変化させたのだ。

 

列強はISに宣戦布告すべし(FAZより)

 

www.faz.net

Nach Terror in ParisWeltmächte sollen IS den Krieg erklären

Frankreich fordert die internationale Gemeinschaft nach den Anschlägen von Paris in einem UN-Resolutionsentwurf auf, sich im Kampf gegen den „Islamischen Staat“ zusammenzuschließen – und ihn mit aller Härte zu führen.

20.11.2015

列強はISに宣戦布告すべし

パリの襲撃の後、フランスは国連決議案のなかで国際的な連帯に、ISに対する闘いにおいて連携することを要請している。そしてその指揮といったらまったく容赦ない。

 

ロシアに続いてフランスもISに対する闘いを支援するために国連決議を提出した。この草案は、安全保障委員会のメンバー15か国に、木曜日ニューヨークで伝えられたものだが、ISによる直近のテロ攻撃を、なかんずくパリでの攻撃を非難しており、いや増していくテロに対抗する日常的な努力を呼びかけるものであった。

イギリスの新聞インディペンデント紙の報告によれば、列強は決議案のなかでISに宣戦布告している。インディペンデント紙が提示する決議案は、したがって、あらゆる国々、ISに対抗してISに支配されたシリアやイラクの領域へ踏み込んでいくため、「あらゆる必要な処置」を講じることのできる国々に要請している。襲撃への予防措置は倍増・調整されることになる。加えて、シリアへの、またイラクへの外国人の殺到に対してより多く処置がなされねばならない。彼らはその地でISの味方になって戦おうというのだ。

「決議は簡潔で断定的、たった一つの目標に絞られている。すなわちわれら共通の敵、Daesh(フランス政府がISを名指すうえで使用)と闘う、ということだ」とインディペンデント紙はフランスの国連大使フランソワ・デラットル Francois Delattre の言葉を引いている。フランスの目標は、迅速に決議を安保理で全会一致に達して、その決議をもってして国際的な連帯を呼び掛けるのを可能にすることだ。その前にもう国連の際にイギリスの大使を務め、またその時の安保理議長を務めたマシュー・ライクロフト Matthew Rycroft が確信して表明していた。「フランスは様々な観点に立って追加の決議案の焦点を合わせてきた、その決議案で一致にいたることになる。」

フランスはIS拠点に空襲を拡大

この間にはロシアが先行し、水位曜日には独自の決議案を提出していた。多数の安保理メンバー国は、しかしながら、拒否した。というのも決議案の中にはシリアの独裁者であり、ロシアとつながりのあるアサドとの協力が予定されていたからだ。西洋諸国は、ISに代わってむしろ穏健とみなされる反政府組織を襲撃することになり、アサド政権を支えることになると。

フランス大統領府がこれまでに伝えていたように、フランソワ・オランド大統領はフランスによるシリア国内のIS拠点を空襲するのを拡大するよう命令している。テロ攻撃のあと、フランスはすでに空襲を強めていた。木曜日にあった軍広報の報告によれば、その時点から三度攻撃し、35個の目標を破壊することになっている。来る日にはフランスの空母シャルル・ド・ゴールが地中海東部で出動態勢を整えている手はずになっている。

たいていのドイツ人は強化された安全対策に賛成

ドイツでは、ドイツ人の大多数は連邦国防軍が対IS戦に直接関与することを拒絶している。ARD(ドイツ連邦共和国教協放送局連合)の金曜日にやる「ドイツ世相 Deutschlandtrend」のなかでは、52%の人がドイツの参加に反対を表明し、41%だけが賛成を表明した。ドイツ自由民主党 FDP や "ドイツのための選択肢" AfDの支持者は、対ISの戦闘動員に賛成を表明するのが49%で最も割合が多かった。左派の支持者は、たった28%の賛成者で、はっきりと分かれた。

うってかわって、パリでの襲撃のために本国での安全対策を強めることには大多数は賛成であるという世論調査がある。質問された人たちの91%、そのためほとんどが、強化された警察配備や適度な統制といった対策を支持している。5%が基本的人権の侵害が深刻になりすぎるのではないかと危惧している。その世論調査は Infratest Dimap 社によって11月16日から19日にかけて調査された。質問されたのは、1000人のドイツ人の市民だった。

さらにベルギーでテロ警戒レベルは二番目の高さへ引き上げられた

ベルギーはテロの警戒レベルをこの間変更させていない。このことを、ベルガ通信は金曜日に国の安保理を責めるように報道した。つまり、個々の安全保障対策はしかし一層改善されるべきだ、と。そのことについての詳細はさしあたり公開されている。公共放送VRTの種々の情報によれば、警察や軍のパトロールは強化されることになっているという。パリの襲撃の後、ベルギーは警戒レベルを三番目に引き上げた。その段階は、全体で四段階である。

パリの襲撃事件のあと一週間、金曜日にEU諸国はフランスの依頼でテロ防衛とEU外でのより優れた予防のための対策を強化することについて審議した。フランスの首都パリでは、元老院と、国会の二つの議院とで、非常事態の引き延ばしについて採決が済んでいない。木曜日の国民議会におけるように、そこでもはっきり賛成で採決されることが予期されている。そして安全保障当局の権原の拡大は、フランスにおいて二月の終わりまで効力を持つと予測される。

ブリュッセルで28人の内務大臣と法務大臣が会合した際には、ヨーロッパ内での航空旅客者の個人情報の蓄積が予定されていること、武器密輸に対する厳罰化、テロ組織の資金に対する処置も取り上げられた。ドイツのため、連邦首相府長官トーマス・デメジエール(CDU)と連邦司法相ヘイコ・マース(SPD)は協力し合うことになる。

 

難民危機:援助者たちは死の冬を恐れている

www.spiegel.de

 

Flüchtlingskrise: Helfer fürchten tödlichen Winter

Die Nächte werden bereits empfindlich kalt - doch noch immer sind Tausende Flüchtlinge unterwegs nach Europa. Viele, die schon in Deutschland sind, haben nur einen Platz im Zelt. Jetzt schlagen Helfer Alarm.

 

難民危機:援助者たちは死の冬を恐れている

夜はもう肌寒くなりはじめている。しかしながらいまだなお多くの難民がヨーロッパへの途上にある。すでにドイツにいる多くのものはたったテントを張る一角をもつのみ。これに及び援助者たちは警鐘を鳴らしている。

 

難民危機から今に難民破局が生じうる事態になっている。というのも日に日にヨーロッパは気温を下げているから――そしてにもかかわらず、引き続き多くの数万人の人々が避難してきているからだ。彼らはバルカン半島を超えて行路渡り、幾日も東欧のこっきょうで足止めを食らい、多くの人々がトルコからギリシャの島への海路、あるいは北アフリカから南欧への海路にたって命運を賭けている。
「食事も医者の助けもない人々がヨーロッパ中をここ最近の涼しくなった気温のなか放浪しているのです。子供を連れた人も何人もいます。杖を突いている人も何人もいます。」人権機関プロ・アジール PRO ASYLの欧州担当官カール・ポップは警告する。彼はバルカン半島を通るルートの途上で次の数か月の間に難民が凍死する可能性があると危惧している。「みんなもういずれ衰弱します」とコップは言う。「この状況が冬にも続けば、死ぬことも十分考えられます。」
コップは、冬に備えるため、「人間の尊厳に値するような受け入れセンターや医療支援をもうけ」、ヨーロッパに共有された努力が必要であると訴えている。「冬季を前に、我々は彼らをこの苦難の旅路(オデュッセイア)から、悲惨な隊列から助け出さねばなりません」。
加えて、やってくる数か月は、ドイツの政治を重大な挑戦に直面させることになる。非常に多くの難民たちは今後もさらにテントを張った仮宿のなかで生活する。「目下、ドイツは準備をしていません」とコップは言う。「急ぐ必要があります」。市町村単位で、また国家規模で、居住空間を作り出すために試行錯誤するのは必定だ。

 「私たちは国や州、市町村に要請します、低くなってゆく気温を前に、決まった滞在場所の手配をしてください。」と話すのは、ドイツ薔薇十字(DRK)の広報、ディータ・シュッツだ。DRKは目下86000人の難民のため、300を超える難民宿営場を営んでいる。そのなかにはいくらかテント・キャンプもある。「テントキャンプは一時しのぎでしかありません」とシュッツは話す「難民が病気に罹る危険は依然あります」。

とりわけ地中海経由でヨーロッパへ向かう道中では、より多くの犠牲者がでると難民の援助者は危惧している。海は毎日時化て、波は高くなる。プロ・アジールのコップはエーゲ海や地中海でのボート転覆に警戒を呼び掛けている。「これまでより多くの人々が海中へと消えてしまうでしょう」と彼は話す。「海は今穏やかではありませんから、我々は数えきれない人々を失うことになります」とUNHCRの協力者であるナディネ・コルニアは、ギリシャマケドニアの国境町イドメニで話す。

「気象は危害を増していくでしょう」UNHCRのBabar Balochも確信して指摘する。Balochは先立つ週にはバルカン半島への道中にいた、ハンガリーにいた、セルビアにいた、クロアチアにいた。そこではUNHCRの支援者が毛布やビニールシートを配布している。「一家が離れ離れで眠るのを余儀なくされると、子どもは病気にかかることになります」彼は政治による直接的な支援を要請している。「この期に及んではひとつのマスタープランが必要なのです」。

10億ユーロ規模の支援をニューヨーク市は決めた

ドイツやその他の巨大な産業国家は火曜の晩に、難民危機の克服のためにより多くの資金を用意することで意見が一致した。ニューヨークでの国連総会のついでの外務省会議で、G7の国々は、より多くの国々とともに全体で18億ドル、つまり16億ユーロの支援を行うと通告した。

この資金UNHCRや他の国連機関が利用できることになり、シリアや他の紛争地帯からの難民を保護する。ドイツの外務大臣フランク=ヴァルター・シュタインマイアーは、一方でそれによってトルコやレバノン、ヨルダンといった受入国も支援されることになるのを強調している。

資金が足りなくなるかもしれない、国の約束は果たされていない、と国連は再三にわたって訴えてきた。シリアのためにUNHCRは今年の予算に74億円を計上した。シリア国内での困窮支援のためにこれまで37パーセントが振り込まれたり約束されたりした。隣国にいるシリア人のためには申し出がさっれた45億ドルのうち41パーセントが融資された。

世界食糧計画(WFP)は、したがって、当該地域にいる150万のシリア人難民のため、食料品の援助を取りやめたり、大幅に縮減したりすることを余儀なくされた。彼らのうち85万人のため、WFPは食料品の配給切符の枚数を半減させねばならなかった。つまりレバノンでは一人頭13.50ドル、ヨルダンでは14ドルということだ。

 

 

 

ホロコーストを否認する87歳の女性に禁錮刑

www.welt.de

POLITIK

URSULA HAVERBECK

ホロコーストを否認する87歳の女性に禁錮

前科のあるホロコースト否認者であるウルスラ・ハーヴァーベックは、ハンブルクで民衆扇動のため禁錮刑十か月の判決が下されていた。この87歳の女性は2015年4月にARD放送の「パノラマ」という番組のインタビューのなかで、ホロコーストは重大で後世まで尾を引く歴史上の偽り事である、という自分の主張を確かなものとしていた。

ハーヴァーベックはこれまでにも何度もユダヤ人の大量虐殺を否認することで厳しく非難されてきたので、ハンブルクの区裁判所判事は、保護観察期間として刑の執行を猶予をするわけにはいかないと思い至った、と、なかでもHamburger Morgenpost紙が報告している。したがって判事は検察庁の申し入れに従った。検察庁は被告人を「妄想的な瞞着者」と鑑定していた。

彼女にはホップもモルツもない。

ハーヴァーベックは公判の期間中も、アウシュヴィッツ絶滅収容所なんかではなく、強制労働所だった、と主張し続けた。民衆扇動としてナチスの犯した罪の否認や軽視は実刑にあたるとしている刑法典の130条を、彼女は「虚偽に固執するための法」と言ってのけた。判事は被告人との愚かしい係争について意見を述べた。発言を取り上げたMorgenpost紙によるとこうだ、「彼女にはホップもモルツもない」。

2008年に活動を禁じられた団体Collegium Humanumを何年もの間率いていた被告人は、極右界隈のアイコン的存在となっていた。彼女を支持するため、ハンブルクの法廷前には、なかんずくドイツ国家民主党(NDP)のシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン支部の委員長であるインゴ・スタヴィッツが現れた、と「パノラマ」が報道している。

初期のSS隊員で「アウシュヴィッツの簿記係」オスカー・グレーニングに対するリューネンベルクでの訴訟にちなんで、ハーヴァーベックは懲罰に当たる陳述を繰り返していた。94歳のグレーニングは、ナチスによる大量虐殺の道義上の共犯である責任を問われ、禁錮刑4年の判決が下された。

関連ニュース:

www.afpbb.com

 

 

 

 

コロンビアで発見された歴史的なスペイン難破船はスペイン自らの手で沈められたのかもしれない

www.ibtimes.co.uk

 

Historic Spanish shipwreck discovered in Colombia may have been sunk by Spain itself

コロンビアで発見された歴史的なスペイン難破船はスペイン自らの手で沈められたのかもしれない

http://d.ibtimes.co.uk/en/full/1469284/blas-de-lezo.jpg

沈没したスペイン艦船がコロンビアはカルタヘナの沿岸で発見された。その艦船はおよそ300年間水中で眠り、ジェンキンスの耳の戦争――ラテン・アメリカの支配をめぐりイギリスとスペインの間で戦われた戦争――と関連ある可能性がある。船舶は水深16フィート(約4.9m)で発見され、発掘作業をしている考古学者たちは、この船は1741年にスペインの勝利で終わったカルタヘナの戦いの最中にスペインの手により故意に沈められたと考えている。

自らの船を沈めるという奇策はBlas de Lezo提督(絵の人物)に命じられ、イギリス接近に際し新世界の港の入り口を塞ごうとしたものだった。その結果イギリスは退却し、スペインはこの地域を守り通した。

水中考古学者で発掘調査を指揮しているコロンビアのTerra Firma基金の責任者であるCarlos del Cairo氏はナショナルジオグラフィックに述べた。「この発見は非常に重要ですがそれにしても文化的な意義は極めて高いものです。ひとつのヒロイズム、つまりイギリスに対して最後まで守りきったという、カルタヘナのヒロイズムの象徴なのです。

発掘団はスキャンされ、3Dでモデル化された海底の底のほうに剥き出しになった木材を発見した。発掘にかかわってはいないが、東カロライナ大学の水中考古学者Jennifer McKinnonは言う。「まったく驚愕させ興奮させる発見だよ。彼らの考えるとおりならなおさらだね。旧世界であるスペインが建造した船舶が新世界にあるというのは、非常にまれなんだ。」

一団は船の内側にある焼き物や金属、ガラス、バラストの破片を発見している。それらは船が沈められた時期にスペインの船大工たちによって使用されていたもので、船がジェンキンスの耳の戦争で使用されたという主張を引き続き導き出すものとなっている。

船はコロンビア考古歴史研究所(ICANH)がこの地域の調査を要請した2014年に、Cairo氏と彼のチームによって偶然発見された。

Lezo提督は、その戦いを指揮していた際には、足、片目、右の手腕をそれ以前の戦争で失った状態だった。「そんな体の状態にもかかわらず、Blas de Lezoは苦々しい結末を迎えるまで自分の土地に立っていたのです」Cairo氏は語った。